2024.7.23
今日も日本橋のお話です。
東海道五十三次を歩いて京都へ旅しようとするときの出発点である日本橋ですが、あっさり出発してしまうことも多く、あまり日本橋について語られることはありません。
でも日本橋って、ネタの宝庫なんですよ。

現在の日本橋は明治44年(1911)に架けられたものです。
最初に架けられたときから数えて、20代目ではないかといわれています。

こちらは歌川広重が描いた日本橋です。保永堂から発行された「東海道五拾三次」の最初の1枚ですね。

一方こちらは葛飾北斎が描いた日本橋。

これは江戸時代に発行された江戸のガイドブック、「江戸名所図会」の挿絵に描かれた日本橋。
これらの絵をよく見ると、欄干の上にタマネギ型のものが乗っています。

擬宝珠(ぎぼし)といいます。
仏教でいうところの宝珠をまねた欄干の柱の上に載せる飾りです。
タマネギの形をしているのはなぜかというと、いろいろな説があるのですが、タマネギの花の臭いで魔物や厄をはらうともいわれています。
ところでこちらは、明治時代初期に撮影された日本橋。

現在の橋に架け替えられる前の日本橋と思われます。
この写真の日本橋には、擬宝珠がありません。
でも、欄干の柱には金属製の蓋のようなものがかぶせてあるように見えます。
これはまさに「蓋」でして、柱の切り口から木材の内部に雨が入らないようにかぶせてあるのです。
水が入ると木材が腐りやすくなるからです。
それを防ぐために、柱の切り口に金属板で蓋をするのです。
擬宝珠も魔除け・厄除けといいながら、本来の役割は柱の腐食防止です。
現在の日本橋には擬宝珠はありません。
理由は欄干が木製ではなくなりましたし、柱もなくなったからです。
それでも擬宝珠を模した石の装飾が、日本橋の端の方にあります。

日本橋から擬宝珠が消えた一方で、江戸時代の橋の擬宝珠は現存しています。
どこにあるのかというと、なんと日本橋のすぐそば。
1つは日本橋の北にある三井記念美術館にあります。

三井本館の中にある美術館の展示室に展示してあります。撮影禁止なので写真はありません。
日本橋の南にも、もうひとつの擬宝珠があります。
江戸時代からつづいている老舗の漆器店、黒江屋です。

幕末の万治元年(1658)に造られた擬宝珠です。
正真正銘本物です。
黒江屋さんの説明によると、古物商から買ったものなのだそうです。
2階にある店舗入口のウインドウに展示してあります。
こちらは誰でも見ることができて、写真の撮影も可能です。(ただし土日はお休みです)
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
最新のブログ記事
- 杖衝坂 三重県の地名由来はヤマトタケル?東海道には日本武尊の物語が伝わる場所が点々とあります。それは三重県内の東海道、伊勢路にもあり、「三重」の地名由来も日本武尊といわれているのです。
- 日永追分の道標 桑名の魚屋と最古の道標東海道から伊勢神宮へとつづく道が始まる日永追分。ここには道標が設置されています。かつてここには東海道沿いで現存最古と呼ばれる道標もあったのです。
- 千貫樋 伊豆から駿河へと結ばれた用水路三島宿を出るとすぐにあるのが千貫樋です。説明板は設置されているものの、成立などに関してはわからないことが多い用水のための施設なのです。
- 日本橋の耕書堂 蔦重の店はどこにあった?大河ドラマで一躍名が上がった蔦屋重三郎。彼は吉原遊廓の大門前に店を構えていましたが、33歳のときに日本橋に進出します。その店の場所とはどこだったのでしょうか?
- 大河ドラマ「べらぼう」をめぐる町歩き2025年5月5日に町歩きイベント「新吉原以外でめぐる蔦重の世界」を開催しました。あえて吉原に行かずに、大河ドラマ「べらぼう」の世界を満喫しました。
東海道歩き旅イベント 参加者募集中
とにかく内容が濃く詳しい、それなのに参加費がリーズナブル。
それが歩き旅応援舎の東海道歩き旅イベントです。
「日帰りで歩く東海道」 日本橋~原宿を日帰りで歩きます。全15回
「京都まで歩く東海道」 原宿~三条大橋を一泊二日で歩きます。全18回
それぞれ月に1回ずつ歩いて、東京の日本橋から京都の三条大橋をめざすイベントです。
以下のイベントが参加者募集中です。途中からでもご参加いただけます。
このブログには書いていないことが、実際の東海道にはいっぱいあります。
もっとくわしくお話をしながらガイドがご案内いたします。
一緒に東海道を歩きませんか?
人生の宝となるような経験、そのためのお手伝いをいたします。
- 日帰りであるく東海道 第2期 生麦~藤沢宿月に1回日帰りで歩く東海道五十三次の旅
開催日時
2025年
4月19日 生麦~保土ケ谷宿
5月24日 保土ケ谷宿~戸塚宿
6月21日 戸塚宿~藤沢宿
参加費 各回3500円 - 京都まであるく東海道 第10期 桑名宿~土山宿月に1回、一泊二日で歩く東海道五十三次の旅
開催日
2025年
4月5~6日 桑名宿~四日市宿
5月17~18日 四日市宿~亀山宿
6月7~8日 亀山宿~土山宿
参加費 各回6500円 - 日帰りであるく東海道 第1期 日本橋~生麦月に1回日帰りで歩く東海道五十三次の旅
開催日時
2025年
4月13日 日本橋~品川宿
5月11日 品川宿~蒲田
6月15日 蒲田~生麦
参加費 各回3500円 - 京都まであるく東海道 第6期 原宿~岡部宿月に1回、一泊二日で歩く東海道五十三次の旅
開催日
2025年
10月25~26日 原宿~蒲原宿
11月22~23日 蒲原宿~東静岡
12月27~28日 東静岡~岡部宿
参加費 各回5000円