2024.7.24
東海道の歩き旅を楽しむとき、日本橋から歩き始める人が多いように思います。
歩き始めて比較的すぐに到達するのが日本橋三丁目の交差点です。
東海道と八重洲通りが交差するこの交差点に、ある人物の像があります。


慶長5年(1600)に日本にやってきたオランダ人航海士、ヤン・ヨーステンです。
「ヤン・ヨーステン」と軽く呼ばれていますが、本当の名前は「ヤン・ヨーステン・ファン・ローダンスタイン」。かなり長い名前です。こりゃ略されるでしょ。
このヤン・ヨーステンが「八重洲」の地名の由来といわれています。
ヤン・ヨーステンが屋敷をもらって住んでいた場所だったことから、「八重洲」の地名が生まれたというのです。
「ヤン・ヨーステン」→「ヤンヨース」→「八代洲」→「八重洲」ですね。
それではヤン・ヨーステンの屋敷はどこにあったのでしょう?
江戸時代終わりころの地図である「金隣堂板江戸切絵図」に、そのヒントが描かれています。

江戸城の内堀沿い、和田倉門の近くに「八代洲河岸」と書いてあります。
この付近がヤン・ヨーステンの屋敷のあった場所といわれています。

和田倉門は今でも石垣が残ってますからすぐわかります。
とするとヤン・ヨーステン屋敷があった場所は、地図ではこの付近になります。
でもよく見てください。
八重洲の地名由来のはずなのに・・・
八代洲河岸は丸の内にある!

実はこのような事情があるのです。
大名屋敷が並んでいた江戸城内堀から江戸城外堀の間は、明治初期には広い大名屋敷を利用して明治政府の役所や軍の施設が並ぶ一帯となっていました。そこへ明治5年(1872)に町名が付けられました。
え? それまで町名がなかったの?
なかったんです。
江戸時代に町名があったのは町人の居住地だけで、原則として武家屋敷には町名はありませんでした。
こうして大名屋敷の並んでいた一帯が、八重洲町1丁目・2丁目と町名が付けられました。町名の由来は先に書いたとおり、ヤン・ヨーステンの屋敷跡です。町の範囲は現在の行幸通りから馬場先通りの間です。

この地図では八重洲町1丁目があった場所に「八重洲町三丁目」と書いてありますが、同時期の別の地図には「八重洲町一丁目」とあることから誤記と思われます。
ところがその後に町名変更が行われます。昭和4年(1929)に八重洲町1丁目と2丁目が丸の内2丁目と町名が変わりました。せっかくヤン・ヨーステンの屋敷があったことを由来に付けられた八重洲の地名が消えてしまったのです。

ところが「八重洲」はしぶといです。
戦争をはさんだ昭和29年(1952)、今度はもともと麹町区八重洲町だった千代田区丸の内のお隣にある中央区で町名変更があったのです。
それまで中央区日本橋呉服橋1~3丁目、同区槇町1~3丁目が八重洲1丁目から6丁目と変わったのです。

こうしてヤン・ヨーステンの屋敷のあった場所から東京駅をはさんだ反対側、区もちがう場所ですが、そこに「八重洲」の町名が復活したのです。
その後八重洲1丁目~3丁目が八重洲1丁目に、4丁目~6丁目が八重洲2丁目に統合され、現在にいたっています。

もともと屋敷があった場所とはちがいますが、このような事情で東京駅近くの東海道の交差点にヤン・ヨーステン像が設置されたのです。
・・・・?
ここで衝撃の事実をお話ししなくてはなりません。
ヤン・ヨーステン像が設置してある八重洲通りは、日本橋三丁目と京橋一丁目の境目にあたります。
なんとこのヤン・ヨーステン像は、屋敷の跡どころか、八重洲の地名ともまったく関係のない場所に設置されているのです!

(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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6月7~8日 亀山宿~土山宿
参加費 各回6500円 - 日帰りであるく東海道 第1期 日本橋~生麦月に1回日帰りで歩く東海道五十三次の旅
開催日時
2025年
4月13日 日本橋~品川宿
5月11日 品川宿~蒲田
6月15日 蒲田~生麦
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開催日時
2025年
4月19日 生麦~保土ケ谷宿
5月24日 保土ケ谷宿~戸塚宿
6月21日 戸塚宿~藤沢宿
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