2024.8.11
品川宿からつづいていた旧東海道が国道15号と合流するところに、鈴ヶ森刑場の跡があります。
江戸の刑場は2つあり、北が小塚原、南が鈴ヶ森でした。
ただ、鈴ヶ森は最初から刑場だったわけではありませんでした。
最初の刑場は三田にあったのですが、江戸の町が拡張するのに従って南に移動し、鈴ヶ森に移転したのです。
移転の時期ですが、元和9年(1623)にキリシタンと宣教師約50名が処刑される大殉教がありましたが、これは三田の刑場でした。
その後も数年にわたって三田の刑場で多くの殉教があったといわれていますが、慶安事件のとき由井正雪の一味だった丸橋忠弥は鈴ヶ森で処刑されたとされています。
丸橋忠弥の処刑の年が慶安4年(1651)ですから、この間のいずれかの時点で刑場が移転したと考えられます。
鈴ヶ森は芝居などにも登場する刑場ですが、ここで行われていたのは火炙りや磔など見せしめ的な処刑だけ、通常の死刑である斬首刑は小伝馬町の牢屋敷で執行されていました。
斬首刑にもただ斬首するだけのもの(死罪)と斬首の後で首を晒すもの(獄門)とがあり、獄門の場合は小伝馬町で死刑を執行した後に、首だけ運ばれてきて鈴ヶ森刑場で晒されていました。



このように鈴ヶ森は死罪とされた多くの人たちに関わった場所ですので、彼らの鎮魂の場でもあるのです。
火炙りと磔に使われた台石が鈴ヶ森刑場跡には置かれていますが、それ以外に供養塔が多数あるのはそのせいなのです。
その中でもひときわ大きいのがこちら。
題目供養塔といって「南無妙法蓮華経」と刻まれています。
建てられたのは元禄11年(1698)年で、建てた人の名として「谷口氏」と刻まれています。
この「谷口」というのは、京都三条に住んでいた日蓮宗徒の谷口長右衛門(号して法悦)本人か、その一族です。
谷口長右衛門(法悦)は一族とともに日本中に題目供養塔を建てた人物です。
東海道沿いにも多数残っており、鈴ヶ森の「谷口氏」のほか、小田原宿と箱根湯本の間の風祭、由比宿から薩埵峠へ向かう途中の寺尾、富士川の渡し口の岩淵、亀山宿郊外、関宿などに現存しています。
年代的には西にある題目供養塔ほど古い傾向があるのですが、日本橋側から東海道を歩き始めると、そこから点々とつづく谷口氏の建てた題目供養塔の始まりの地となります。






さまざまな分野において、東海道は各所でつながっています。
今回は鈴ヶ森刑場をきっかけとして、そこからはじまる題目供養塔に着目しました。
日本橋から京都まで、あるいはその逆方向に「あ、これ以前にも出てきた」と思い出しながら歩くのも、東海道歩き旅の楽しみ方の1つです。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
東海道歩き旅イベント 参加者募集中
とにかく内容が濃く詳しい、それなのに参加費がリーズナブル。
それが歩き旅応援舎の東海道歩き旅イベントです。
「日帰りで歩く東海道」 日本橋~原宿を日帰りで歩きます。全15回
「京都まで歩く東海道」 原宿~三条大橋を一泊二日で歩きます。全18回
それぞれ月に1回ずつ歩いて、東京の日本橋から京都の三条大橋をめざすイベントです。
以下のイベントが参加者募集中です。途中からでもご参加いただけます。
このブログには書いていないことが、実際の東海道にはいっぱいあります。
もっとくわしくお話をしながらガイドがご案内いたします。
一緒に東海道を歩きませんか?
人生の宝となるような経験、そのためのお手伝いをいたします。
- 日帰りであるく東海道 第5期 元箱根~原宿月に1回日帰りで歩く東海道五十三次の旅
開催日時
2025年
2月22日 元箱根~山中城
3月22日 山中城~三島宿
4月26日 三島宿~原宿
参加費 各回3500円 - 京都まであるく東海道 第9期 国府~熱田宿月に1回、一泊二日で歩く東海道五十三次の旅
開催日
2025年
1月12~13日 国府~岡崎宿
2月1~2日 岡崎宿~前後
3月1~2日 前後~熱田宿
参加費 各回6000円 - 日帰りであるく東海道 第1期 日本橋~生麦月に1回日帰りで歩く東海道五十三次の旅
開催日時
2025年
1月18日 日本橋~品川宿
2月15日 品川宿~蒲田
3月15日 蒲田~生麦
参加費 各回3500円 - 京都まであるく東海道 第10期 桑名宿~土山宿月に1回、一泊二日で歩く東海道五十三次の旅
開催日
2025年
4月5~6日 桑名宿~四日市宿
5月17~18日 四日市宿~亀山宿
6月7~8日 亀山宿~土山宿
参加費 各回6500円 - 日帰りであるく東海道 第1期 日本橋~生麦月に1回日帰りで歩く東海道五十三次の旅
開催日時
2025年
4月13日 日本橋~品川宿
5月11日 品川宿~蒲田
6月15日 蒲田~生麦
参加費 各回3500円 - 日帰りであるく東海道 第2期 生麦~藤沢宿月に1回日帰りで歩く東海道五十三次の旅
開催日時
2025年
4月19日 生麦~保土ケ谷宿
5月24日 保土ケ谷宿~戸塚宿
6月21日 戸塚宿~藤沢宿
参加費 各回3500円
最新のブログ記事
- 松平武元と松平康福の屋敷跡 「べらぼう」の老中はどこに住んでいた?大河ドラマ「べらぼう」に登場する老中松平武元と松平康福。彼ら2人が住んでいた屋敷はどこにあったのでしょう? もしかしたら、行ったことがある場所かもしれません。
- 三島スカイウォーク 東海道箱根西坂の休憩施設2015年に箱根西坂にオープンした三島スカイウォーク。三島市の観光名所となっていますが、東海道を歩いている私たちにも休憩場所を提供してくれます。
- 箱根西坂の山中城跡 そこから見えるこんなもの日本100名城のひとつ、山中城。土塁や堀が良好な状態で残っている戦国時代の城跡です。その城跡ではこんな楽しみ方もできるのです。
- 知立と池鯉鮒 東海道五十三次の宿場名はどっち?!現在の知立市にある東海道五十三次の宿場「池鯉鮒宿」。「知立」と「池鯉鮒」、ちがいは何でしょう? ただしい表記はどっち?
- 池鯉鮒宿のあんまき やっぱり焼きたてが一番!池鯉鮒宿にある知立神社、その参道入口で売られているお菓子があります。他の業者の同種のお菓子は駅やドライブインでも売られていますが、ここはやはり焼きたてを食べましょう!