2024.8.17
川崎宿は六郷の渡し場から始まっていますが、最初にあった店は「万年」という名の茶屋でした。
「万年屋」と書かれることも多い店です。
最初は茶屋(一膳飯屋)だったのですが、旅人たちに人気があり、そのため後には宿泊が可能な旅籠になっています。
安政4年(1857)には、下田から江戸に向かう途中のアメリカ総領事ハリスが、万年に宿泊しています。
あった場所は六郷の渡し場から川崎宿に入って、東海道が大師道と分かれるところの左側です。
東海道かわさき宿交流館にある宿場のジオラマでも、東海道の左に万年の模型が置かれています。
ただし万年の説明板は東海道の右側に設置されていますので、注意が必要です。
川崎宿には江戸時代の終わりころに浅野忠良という能書家がいました。
現在の川崎小学校の前身である寺子屋「玉淵堂」を開いた人です。
彼は万年のために額を書いています。
書かれていた文字は「亀齢館」。
「亀は万年」ですね。
この万年が茶屋だったときから旅人たちに供していて人気だったのが、奈良茶飯でした。
奈良茶飯は奈良の興福寺の門前の茶屋で出されていた茶がゆを取り入れた、あるいは茶がゆをもとに創作した料理だとされています。
私が奈良に行ったときに食べた茶がゆがこれ。
お茶で炊き込んだご飯をもう一度茶にしたして食べるものです。
一方で万年で出していたとされる奈良茶飯は、どのようなものだったのかレシピが残っていません。
ただ、復元したとされる模型が二川宿本陣資料館に展示してありました。
ぜ ん ぜ ん 違 う !
なぜこのようなことになったのかはわかりません。
ただ、天保9年(1838)ころに発刊された東海道の小咄を集めた「東海道中滑稽譚」には「万年屋の茶漬けも、むかしとハちがつて」という記述がありますので、もともとは奈良の茶がゆのようなものだった可能性もあります。
その場合は模型のような奈良茶飯になった時期や経緯などもわかりません。
この奈良茶飯はおこわにちかいご飯です。
今も食べることができます。
川崎宿の中にある和菓子店の東照さんが、奈良茶飯を復元した「奈良茶飯風おこわ」を販売しているのです。
店内でいただくこともできますし、冷凍したものを持ち帰ることもできます。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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月に1回、日帰りで歩く東海道五十三次の旅
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