2024.9.9
東海道戸塚宿は谷間の町です。
いくつもの小さな谷が集まって大きな谷間が形成された、そんな小盆地といってもよい場所にできた町です。
だから東海道以外の谷沿いの道もあちこちから集まってきて、戸塚宿で交差していました。
まさに戸塚は交通の要衝です。
だから戸塚宿場内には3つも道標があります。
まず1つめはこれ。
歌川広重の「東海道五拾三次 戸塚新町別道」の絵で、橋の手前に描かれている道標です。
この絵に描かれている橋は吉田大橋、今も国道1号が柏尾川を渡るところ架かっている橋です。
この橋の日本橋側、道の左側に道標がありました。
柏尾川沿いをしばらく進むと鎌倉へと通じる道があり、その道の行き先を表示した道標です。
「左かまくら道」と書かれています。
この鎌倉道の道標と思われるものが、近くのお寺の境内に現存しています。
ある場所は妙秀寺の本堂前です。
さて、吉田大橋を渡ったところにも道標がありました。
ここからは大善寺の境内に祀られている淡島明神への道標がありました。
この道標も現存しています。
場所は元あった場所のすぐ近く、川沿いの緑地の中です。
正面に「淡島大明神 退魔山大善寺」、左面に「八王子道」などと刻まれています。
大善寺はここから1.4キロくらいのところにあります。
「八王子道」は何を意味するのかよくわかりません。
淡島明神は女性のための神様です。
女性病の快癒や裁縫の上達などの御利益があります。
祭日には豆腐に針を刺して奉納する習慣があったそうです。
大善寺への道は柏尾川沿いを西側の山の方に向かっていましたが、現在はぶりジストンの工場ができたために途切れてしまっています。
3つめの道標は、戸塚宿内をもっと南に進んだ八坂神社前の交差点の角にあります。
こちらは元々あった場所から、東海道をはさんだ反対側に移転しています。
この道標も鎌倉道のものです。
戸塚宿は、2か所から鎌倉へと向かう道が出ていたのです。
八坂神社前の交差点から出る道は、宅地開発などによりかなりルートに変更がありますが、鉄道沿いに南下してきた吉田大橋から始まる前述の鎌倉道と合流し、山を越えて鎌倉の鶴岡八幡宮の裏手へと続いています。
この道標、よく見ると変わった形をしています。
それに刻まれている文字も「これよ里 かまくら道」以外に別の面に「南無阿弥陀仏」などの文字が刻んであります。
まずは形から。
道標の上部の変わった形は、仏像などの台座としてよく使われる蓮華座です。
ということは、この道標の上にはもともと仏像があったことが考えられます。
たとえばこんな感じで。
「南無阿弥陀仏」と刻まれていることから、おそらく阿弥陀如来像があったのではないかと思われます。
この仏像がいつ失われて、どこに行ったのかなどは、まったくわかりません。
次に文字について。
「南無阿弥陀仏」と刻まれている反対側の面をよく見ると、「庚申講中」と刻んであります。
庚申講(こうしんこう)とは60日に1回めぐってくる庚申(かのえさる)の日に徹夜をする会をするために集まる人たちのことです。
→庚申講についてはこちら
庚申講の人たちが建てた道標だとわかります。
もしかしたら、ただの道標ではなく、庚申塔として造られた可能性もあります。
戸塚は庚申信仰が盛んな場所で、宿場の京都側郊外には付近に建てられていた庚申塔が集められている場所もあります。
戸塚宿の道標はそれぞれ動かされています。
でもこれらの道標を見ることで戸塚宿の交通についてわかるとともに、ここに住んでいた人たちの生活も垣間見えるのです。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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4月25~26日 磐田~高塚
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月に1回、日帰りで歩く東海道五十三次の旅 - 日帰りであるく東海道 第2期 生麦~藤沢宿東海道歩き旅第13シリーズ
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月に1回日帰りで歩く東海道五十三次の旅 - めざせ大阪! 京街道をゆく 第1回 追分~淀宿開催日時
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「京都まであるく東海道」の続きです。大津宿を出て大阪に向かう京街道を3回に分けて歩く第1回。髭茶屋追分から淀宿まで一泊二日で歩きます。
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