2024.9.14
東海道を歩いていると、あちらこちらで赤穂浪士の関連地に出会います。
最たるものは四十七士の墓所や大石内蔵助像がある泉岳寺です。
大石内蔵助に率いられた赤穂浪士たちが本所の吉良上野介邸に討ち入った事件はあまりに有名で、それをもとにした芝居などの創作作品も多数作られたために、現在に伝わっている話は本当の話よりも後世の創作の方が多いと思われます。
戸塚宿を出て次の藤沢宿へと向かう途中、高台の縁にある東海道を歩いて行くと、ここにこのような碑があります。
「お軽勘平 東海道戸塚山中道行きの場」と書かれた碑です。
これも赤穂浪士に関わりのあるもので、「仮名手本忠臣蔵」の登場人物であるお軽と勘平の物語によるものです。
お軽は浅野内匠頭がモデルの塩冶判官の妻の腰元、早野勘平は判官の家臣、二人は恋人同士という設定です。
ところが吉良上野介がモデルの高師直に塩冶判官が殿中で斬りかかるという事件が起こったとき、二人は逢い引きをしていてこのお家の大事を知らなかったのです。
そのことで面目を失った勘平は、お軽とともに彼女の故郷へ向かうことにします。
そこで二人は東海道を京都方面に向かって旅することになるのですが、戸塚の西の高台で景色を眺めているときに、お軽に横恋慕した鷺坂伴内が仲間を連れて現れ、お軽を連れ去ろうとするのです。
ところが弱っちい色男だと思っていた早野勘平は実は屈強の武士で、素手で伴内一味をコテンパンにのしてしまい、観客はそれを見てスカッとするという内容です。
ところが「仮名手本忠臣蔵」では、その後の二人の悲劇的な運命が描かれます。
お軽の故郷で漁師になった勘平でしたが、自分も主君の仇を討つために大石内蔵助がモデルの大星由良助たちの仲間に加わろうと考えます。
ところがこれまでの経緯から手ぶらでは加わり難かったため、仇討ちの軍資金を手土産にして大星たちのところへ行こうとするのです。
ところが資金の目当てがない勘平は悪心を起こし、通りすがりの男を猟銃で撃ち殺してその財布を奪ってしまいます。
ところが犯行後に逃げ帰って財布をよく見ると、なんとお軽の父親の財布でした。
一方のお軽は勘平がお金を必要としていることを知り、自ら身売りをして父親に代金を託して勘平に届けようとします。
しかし父親は途中で強盗に遭い、殺されて財布ごと金を盗まれてしまいました。
つまり勘平が殺したのはお軽の父親を殺した強盗だったのですが、勘平はそれと知らずに自分の罪を悔いて自殺してしまうのです。
江戸時代の芝居にありがちな盛大に尾ひれがついたあり得ない物語ではありますが、江戸時代の人々は見事にお軽の父親の仇を討ちながら、それを知らずに自殺してしまう勘平の悲劇に涙したのです。
いやいや、「殺したのがお軽の父親であっても強盗であっても、勘平が強盗殺人をしたのは変わりないだろ!」とこれはツッコミたくなるところです。
勘平のモデルは実在の旧赤穂藩士の萱野三平です。
松の廊下事件を最初に赤穂へ知らせた藩士で、浪人後は大石たちの盟約に加わっていたものの旗本大島家の家臣だった父が大島家への仕官の話をまとめてきてしまったため、板挟みになって自害してしまったとされています。
お軽については、三平の恋人だったわけではなく、浪人となった大石内蔵助が山科に住んでいたときに同居していた妾の名前がお軽だったとされています。
東海道は山科も通っています。
しかし大石内蔵助が住んでいたのは、東海道が通っている山科駅前の徳林庵などがある賑やかな通りより約3キロ南西の勧修寺の近くです。
東海道を歩いて旅すると目に入る碑ではありますが、建碑の元となった物語は創作であって事実ではありません。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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4月25~26日 磐田~高塚
5月23~24日 高塚~二川宿
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月に1回、一泊二日で歩く東海道五十三次の旅 - 日帰りであるく東海道 第3期 藤沢宿~国府津東海道歩き旅第11シリーズ
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5月23日 茅ヶ崎~大磯宿
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月に1回、日帰りで歩く東海道五十三次の旅 - 日帰りであるく東海道 第2期 生麦~藤沢宿東海道歩き旅第13シリーズ
開催日時
2026年
5月3日 生麦~保土ケ谷宿
5月17日 保土ケ谷宿~戸塚宿
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月に1回日帰りで歩く東海道五十三次の旅 - めざせ大阪! 京街道をゆく 第1回 追分~淀宿開催日時
2026年5月5日~6日
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「京都まであるく東海道」の続きです。大津宿を出て大阪に向かう京街道を3回に分けて歩く第1回。髭茶屋追分から淀宿まで一泊二日で歩きます。
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