小田原城は復元された天守閣や城門の土台として、江戸時代さながらの石垣が使われていますが、実はその多くの部分が積み直して復元されたものです。
最大の理由は関東大震災です。
震源地の直近であった小田原では、石垣のほとんどが崩落してしまい、大きな被害を受けたのです。
当時小田原城は御用邸として利用されていましたが、関東大震災によって御用邸も倒壊し、これが契機となって廃止になってしまいました。
その後は宮内省から小田原市に移管されたのですが、昭和初期は城跡を文化財として大切にする気風になく、石垣の復原が行われたのは戦後になってからでした。
例えば天守閣の石垣は昭28年、常盤木門の石垣が昭和45年、銅門はの石垣が平成7年に復原されています。
ただし、復原されずに崩落したまま残っている石垣もあります。
それが本丸の外側、天守閣の南側に積んであった石垣です。
小田原城の天守閣から常磐門を通って下に下り、郷土文化館やかつての図書館の前の道をこども遊園へと向かって進むと天守閣の真下に出ます。
現在は天守閣の下は土の斜面でツツジなどが植えてありますが、かつては斜面の上部は石垣で覆われていました。
その石垣が地震によってほぼ形を崩さないまま滑り落ち、その状態のまま現在も残っているのです。
この石垣が滑り落ちた状態で残っているのは、放置されているからではなく故意にこの状態で残しているのです。
小田原城本丸では、地震による石垣への被害としては非常に珍しく、積まれた状態のまま下に滑り落ちたのです。
非常にめずらしい崩れ方をしたことと、この崩れ方のために江戸時代の石垣の積み方や構造を知る上で貴重な資料となりました。
そこで滑り落ちた状態で崩れた石垣がそのまま残されているのです。
天守閣の下のアスファルト舗装をされた通路沿いには、すぐ近くに石垣石を見ることができます。
江戸時代の石工たちが削った跡や、石を割るときに付けられた矢穴の跡まで見ることができます。
小田原城本丸の崩れた石垣には、石垣好きとっては興味が尽きないところがあるのです。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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