本日(2025年1月5日)からNHK大河ドラマ「べらぼう」が始まりました。
その中に死んだ遊女たちの埋葬という、初回からショッキングなシーンが出てきました。
遊女たちのほとんどは貧しい農民の子供たちが売られてきたものです。
名目上は親の借金を代わりに返すために、遊女として働くという契約になっています。
ただし花魁などの売れっ子の遊女にならない限りは、遊女屋からさまざまな名目で搾取にあい、自身の稼ぎは借金の返済に回らないまま若くして命を落とすことが多かったといいます。
死んだ遊女たちは親との連絡が途絶えており、つまり無縁となっていることから、無縁仏として埋葬されました。
それらの埋葬を引き受けるお寺が遊廓や、実態として遊廓化していた宿場などにはありました。
それらのお寺は「投げ込み寺」などと呼ばれていました。
本日の放送では寺の名前は明らかにならなかったものの、投げ込み寺と思われる寺で衣服を剥ぎ取られた遊女たちの遺体が、埋葬されるまで地面に無造作に放置される様子が描かれていました。
NHKがゴールデンタイムに放送する大河ドラマに、このようなシーンが出てくることは画期的だったと思います。
ところで、死んだ遊女たちは筵にくるまれた状態で、文字どおり寺に投げ込まれるように遺体を置いていかれたという話をよく聞きます。
これに関しては、投げ込み寺と呼ばれていた旧宿場のお寺においてご住職から私が直接聞いたお話では、遊女たちの遺体は本当に筵にくるまれて、投げ込まれるように置いていかれたわけではないということでした。
遊女屋ではちゃんと棺桶に納めて埋葬料を添えて、お寺に遊女の遺体を持ち込んだそうです。
たしかに言われてみれば、お寺に埋葬を頼むのに、筵にくるんで置いていくのは大変失礼な話です。
ご住職の話は、至極もっともだと思われます。
ただ、私はことの真偽を判断するための他の事例を知りませんし、自分自身の目で見たわけではありません。
このお寺だけが棺桶に入れて埋葬費用を添えて遺体が持ち込まれていたのかも知れません。
悲惨な生涯を送ることが多かった遊女たち、彼女たちの死後の真相はどのようなものだったのでしょうか。
【公開後加筆】
遊廓や遊女の生活に詳しい人たちの書いた他の記事にも「本当に投げ込まれていたわけではない」と書かれているのを、この記事の公開後に確認しています。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
【画像出典】 国立国会図書館デジタルコレクション
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