永禄3年(1560)に、豊明市から名古屋市緑区のかけての一帯で桶狭間合戦が起こりました。
尾張に進軍した今川義元を織田信長が急襲し、義元を戦死させた合戦です。
織田信長が後に天下を掌握する転機となった戦いとして知られています。
このとき今川義元にしたがって尾張まで来ていた武将たちとその配下の兵は、雪崩打つようにして東へと逃げていったのですが、その途中で織田方の追撃を受けて多くの者が死んだといわれています。
豊明市に前後という場所があります。
名鉄線の駅もあるところです。
「前後」とは変わった地名ですが、その地名由来としては桶狭間合戦の後に今川方の兵の首が前にも後ろにも転がっていたからというものがあります。
この地名由来が本当かどうかはともかくとして、それだけこの地では多くの人が死んだということなのでしょう。
ちなみに、現在中京競馬場があるところの地名を間米といいます。
かつての間米村が大きくなって分村し、もともと間米村の中心(本郷)に対して、東海道に近いところを「前郷」と呼んでいたのが転じて「前後」になったという説もあります。
「前にも後ろにも首」よりは説得力がある説です。
前後はそんな土地ですから、桶狭間合戦の戦死者を埋葬したと伝わる「戦人塚」と呼ばれる塚があります。
国の指定史跡になっています。
前後駅の南約800メートルのところにある曹源寺の僧侶たちが、桶狭間合戦の折りの戦死者を埋葬し、彼らを弔うために築いた塚といわれています。
埋葬地がこの塚なのか、埋葬地とは別に塚を築いたのかについては、明らかではありません。
埋葬した死者の数は1000人とも2500人とも言われています。
1000人を埋葬したから「千人塚」、それが戦死者なので文字が替わって「戦人塚」になったとも伝わっています。
一方で、豊明市にある国指定史跡の桶狭間古戦場伝説地にある桶狭間弔古碑の記述や曹源寺に伝わる話では埋葬者の数は2500人です。
織田信長の進撃路、今川義元戦死の地や、そもそも兵数が10分の1程度にすぎない信長がなぜ勝てたのかなど、解明されていない謎が多い桶狭間合戦ですが、戦人塚のような関連地をめぐって自分なりの結論を想像してみるのも楽しいでしょう。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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