江戸時代以前の箱根では、農業がほとんどなかったと考えられています。
産業といったら旅人たちに対する茶屋商売や、箱根竹と呼ばれる細い竹が煙管や筆の素材として売れたくらいのものだったようです。
とくに箱根の西坂にはほとんど人が住んでいなかったため、幕府は箱根の東海道を通る人々への便宜を図るために、江戸時代初期に新田開発を行いました。
三島から沼津にかけての農村の次男・三男に土地を与えて新田開発をさせ、それと同時に立場となる村を造って旅人たちの便宜を図ろうとしたのです。
こうして西坂五ヶ新田と呼ばれる5箇所の新田村ができあがりました。
箱根峠に近い上から順にいきます。
まずは山中新田。
ここは戦国時代の山中城の跡地にあたり、地蔵堂などがあり祭りのときには三島側にむけて行列ができたといいますから、もしかしたら江戸時代以前から人が住んでいたのかも知れません。
次は笹原新田。
一里塚から西(坂の下)に向かって新田村がありました。
(笹原新田)
三ツ谷新田。
ここは5つの新田村のうち一番人口が多い村でした。
寺本陣の松雲寺や、6体じゃないのに六地蔵がある場所です。
4つめは市山(いちのやま)新田。
三ツ谷新田からは題目坂を挟んだところで、小さな村でした。
これは題目坂の名の由来となった題目碑。
平成5年(1993)に移転した法善寺の入口近くにありますが、もともとは題目坂の上にありました。
最後は塚原新田です。
ここも大きな村で、三ツ谷新田に次ぐ規模がありました。
普門院や宗福寺といったお寺があり、両方とも近年新しく建て直されました。
そして塚原新田が終わったところに伊豆フルーツパーク。
平成25年(2013)にオープンした果物狩りが楽しめる観光農園ですが、大きなお土産屋さんを併設しており、 東海道を歩く途中でフルーツを使ったお菓子を買ったり、休憩をするのにお勧めです。
おもしろいことに、箱根西坂に家並みがつづいているのは、これら5つの新田の村があったところだけなんです。
江戸時代に造られた新田村は、いまも人々の居住地に影響をあたえているんですね。
そして5つの新田が終わると、そこからは松並木がつづき、東海道は三島宿へと向かうのです。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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