日本の神道の中心に位置する伊勢神宮。
伊勢神宮へといたる道は東海道から始まっていることもあり、東海道五十三次を歩いていると伊勢神宮に関わりのあるところ、関わりのあるものにたびたび出会います。
伊勢神宮の鳥居はその代表格でしょう。
東海道沿いには3箇所に伊勢神宮で過去に使われていた鳥居が立っています。
桑名宿の七里渡し
城南神社
関宿の東追分
伊勢神宮では20年に一度、式年遷宮が行われます。
そのときに鳥居の架け替えも行われます。
解体された社殿の柱を利用して、新たな鳥居が造られるのです。
伊勢神宮内宮の参道を流れる五十鈴川に架かる宇治橋の内側と外側の鳥居は、このようにして式年遷宮のたびに造り直されます。
そしてそれまであった古い鳥居は、内側のものが桑名宿の七里の渡し場へ、さらに20年が経って次の鳥居が七里の渡し場に来ると、古いものは城南神社へと移動します。
熱田宿(宮宿)の七里の渡し場から船に乗って伊勢参りに行く人たちにとっては、桑名の七里渡しにある鳥居は伊勢神宮の一の鳥居ということになります。
この鳥居を一の鳥居と考えると、桑名宿からつづく東海道は、伊勢街道が分かれる日永追分までは伊勢神宮の参道ということになります。
さすがに伊勢神宮、参道も広大です。
一方で宇治橋の外側にある鳥居は、式年遷宮によって新しいものが造られると、それまでの鳥居は関宿へと運ばれます。
関宿の東見附のすぐ脇からは、津を経て伊勢神宮へと向かう伊勢別街道が出ています。
この場所を東の追分と呼んでいます。
宇治橋の外側にあった鳥居は関宿に運ばれて、東の追分の鳥居として設置されるのです。
こちらは京都側からお参りする人たちがくぐる、伊勢神宮の一の鳥居ということになります。
さて、宇治橋の両側に架けられている鳥居はこのようにリサイクルされているのですが、最後に再利用される場所では、式年遷宮のたびに新しい鳥居がやってくるわけです。
伊勢神宮で使われていたものが不要になった後、他の神社や地域がもらい受けて使う例は他にも見られます。
伊勢神宮特有の風習なのか、信仰としてどのような捉え方がされているのか、各事例について調べるのは今後の課題となりそうです。
それでは、最後の最後で使われなくなった古い鳥居はどうなるのでしょう?
私はこの先のことまでは存じないのですが、ひそかに赤福のヘラになるのではないかと想像しております。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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