大田区にはかつて「雑色」という地名がありました。
いわゆる難読地名ですが、「ざつ」ではなく「ぞう」と読んで「ぞうしき」という地名です。
この地名自体は昭和12年(1937)に姿を消し、雑色は東六郷、南六郷、仲六郷の一部になりました。
現在「雑色」の名称は、京急線の駅名として残されています。
多摩川の旧河道の低地帯に6つの村ができたことが六郷の地名由来とされていますが、その村の1つが雑色村でした。
かつては東海道の立場でもあったところです。
その村の鎮守だったのが熊野神社で、第一京浜と姿を変えた東海道沿いに今も神社があります。
小さな神社です。
力石があります。
境内社として稲荷神社もあります。
ちょっと風変わりな使われ方をしている天水桶
社殿の前には狛犬があります。
なかなかカッコイイ狛犬です。
ところでこの狛犬の台石、文字が書いてあります。
武 運 長 久 !
奉納された年が昭和14年、奉納者が在郷軍人会六郷分会となっています。
昭和14年といえば、日中戦争のまっただ中です。
在郷軍人会というのは退役軍人の団体ですから、大陸で戦う後輩たちの武運を祈って奉納したものなのでしょう。
こんな小さな神社に残る文字から、戦前の世相を読み取ることができるのです。
神社には狛犬の他にも、鳥居や灯籠、天水桶などに奉納者や奉納年の文字が刻まれています。
中にはさまざまな情報を読み取ることができるものもあります。
神社って地域の記憶装置なんですね。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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