東海道五十三次を三島宿から沼津宿に向かって歩いていると、一里塚に出会います。
この一里塚は、かつてこの付近が伏見村だったことから「伏見一里塚」と呼ばれています。
地名の由来については、古くは伏見稲荷神社があったことといわれています。
左右の一里塚はそれぞれ寺院の敷地内にあります。
右が玉井寺、左が宝池寺の敷地です。
現地の説明板には「玉井寺一里塚」「宝池寺一里塚」と書かれています。
見た目からもわかるとおり、右の玉井寺にある一里塚は江戸時代に造られたもの、左の宝池寺にある一里塚は大きく破損していたものを昭和60年(1985)に土を盛り木を植えて復元したものです。
説明板には日本橋から29里目と書いてあります。
ただし、この一里塚が築かれた江戸時代初期には、28里目として造られました。
一里塚の数が増えたわけでも、移動したわけでもありません。
一里塚に設置されている説明の「〇里目」という記述には注意が必要なのです。
東海道の一里塚は江戸時代初期に築かれました。
そのころは江戸の日本橋から京都の三条大橋まで120里と認識されていましたので、それをもとにして築造されています。
ところが江戸時代も後期の天保14年(1843)ころ、幕府は東海道の調査を行い「東海道宿村大概帳」という書物にまとめました。
ここには各宿場の間の距離が記載されているのですが、それによると日本橋と三条大橋の間の距離は126里となっているのです。
東海道の距離が伸びたわけではなく、その時代時代の測量精度が理由だと思われます。
それどころか本当に測量をしたかどうかすらわからない、そんな数字が120里なり126里なのです。
一里塚に設置してある多くの説明板の「〇里目」の記述は、この「東海道宿村大概帳」に載っている里数のうち、一番近いものを選んでいることが多いようです。
東海道の距離の測定値が変わったところで一里塚を新たに築き直したりはしていませんので、一里塚は120里という数値をもとにしたものしかありません。
120里をもとにして造られた一里塚を、現在になって126里に無理矢理あてはめて説明板の「〇里目」の記述になっていますので、一里塚築造当初の「〇里目」との間にズレが生じてきます。
だから説明板に「29里目」と書いてある伏見の一里塚も、28里目として造られた一里塚なのです。
多少わかりづらい話をしましたが、天気の良い冬の日には、伏見の一里塚から富士山が望めます。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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