沼津宿は沼津城の城下にあった宿場です。
ただし江戸時代の沼津城は安永6年(1777)から沼津を領有した水野忠友が建てた城です。
実はこれよりも以前にも、沼津には同じ場所に城があったのです。
それ以前に沼津にあった城は、水野忠友の沼津城と区別するために三枚橋城と呼ばれることが多いです。
三枚橋城を最初に築いたのは、武田信玄の跡を継いだ武田勝頼だとされています。
武田勝頼は小田原の北条氏に対抗するために沼津に城を築きました。
築城時期は元亀元年(1570)か天正5年(1577)とされていて、説が分かれています。
天正10年に武田勝頼が織田信長に攻められて滅亡したとき、沼津を含む駿河国は徳川家康が占領しました。
家康は沼津城を四男の松平忠吉に与えましたが、このとき忠吉は2歳ですので、実質的な城主は忠吉の後見役だった松平康親でした。
小田原の北条氏が豊臣秀吉に攻められて滅亡し、徳川家康が関東に移ることになったとき、家康はいったん駿河も三枚橋城も手放しています。
しかし関ヶ原合戦後に再び駿河を支配下に納めた家康は、三河の豪族だったころからの家臣だった大久保忠佐を三枚橋城主としました。
ところが大久保忠佐は嫡子の忠兼を慶長18年(1613)に病気で失ってしまうと、半年後には自身も跡継ぎがいないまま没してしまいました。
そのため三枚橋城の大久保家は改易となり、三枚橋城も廃城となってしまいました。
沼津に再び城ができたのは、約160年後に水野忠友が沼津藩主になってからになります。
廃城後の三枚橋城ですが、文献に記述があるものの長らく遺構が見つかっておらず、「幻の城」と呼ばれていました。
ところが平成6年に狩野川沿いでビルの建設工事を行ったところ、地中から古い石垣が発見されました。
戦国時代に多用されていた野面積みと呼ばれる工法で造られた石垣で、あきらかに江戸時代の石垣ではありませんでした。
これが戦国時代の沼津城、いわゆる三枚橋城の外堀の石垣だったのです。
これを皮切りに次々と三枚橋城の石垣は各所で発見され、「幻」と呼ばれていた城が実在したことが明らかになったのです。
これらの石垣の石は、今も積み直されたり石が歩道に置かれたりしたものを、沼津宿のあちこちで見ることができます。
ところで戦国時代の沼津城を三枚橋城と呼ぶことは、先に書いたとおりです。
それでは三枚橋とは何かというと、沼津宿内に架かっていた橋の名前なのです。
この橋が東海道にあったことから、戦国時代には沼津はすでに三枚橋と呼ばれていました。
現在の三枚橋は、国道1号になっている東海道に交わる狢川に架けられた小さな橋です。
橋の北側はすでに暗渠になっていて、川の流れを見ることができるのは左側だけです。
この橋の名前の由来は3枚の橋板からできた石橋だったことと、一般的にはいわれています。
その橋板の1枚とされるものが、近くの稲荷神社の境内には置かれています。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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