歩き旅応援舎が主催している東海道歩き旅イベント、その日本橋を出発して2回目に大森と蒲田を通ります。

ここには3か所で「和中散」という道中薬を売っていました。

大森間宿

大森の販売所跡
「東海道名所図会」に描かれた和中散販売所

谷戸立場

貴舩神社のとなりに販売所があった

そして梅屋敷です。

梅屋敷公園
浮世絵に描かれた梅屋敷

これらの場所で売られていた和中散は、滋賀県栗東市にある東海道の梅の木立場で製造されていました。

最初に和中散を製造し販売を始めたのは「是斎」の商号をもつ大角家でした。
(「角」の字は真ん中の縦線が下まで突き抜けます)

その家屋は「和中散本舗」として国の重要文化財に指定されています。

和中散本舗

ところが大角家にとって思わぬ事態が起こります。
和中散が売れたことに目を付けた同じ梅の木立場の他の家でも、「和中散」という名前で類似の道中薬を造って販売を始めたのです。
多いときには、5軒もの家で「和中散」を製造するにいたりました。

和中散本舗

ところで、大森や蒲田で販売されていた和中散ですが、大角家で製造したものか、他の家で製造された類似品か、わからないのです。
実は類似品の「和中散」だったこともあり得ます。

和中散本舗の前面

梅の木立場では、やがて類似品を製造していた家のひとつが、大角家を和中散の商法侵害で訴え出てしまいました。
この訴訟で和中散を製薬し続けていた大角家は、なんと負けてしまったのです。

そのために大角家では「和中散」という名称を使うことができなくなってしまいました。いいのか、こんなことで?!

和中散本舗に残る馬つなぎの輪

ところがです。
明治以降になって大角家以外の類似品を製造していた家は全部潰れてしまい、結局大角家しか残りませんでした。

江戸時代後期に建てられた店舗も現在まで残り、ときどき公開も行っています。

公開中の店内

   

(歩き旅応援舎代表 岡本永義)

最新のブログ記事

ブログ記事一覧

東海道歩き旅イベント 参加者募集中

それが歩き旅応援舎の東海道歩き旅イベントです。

「日帰りで歩く東海道」  日本橋~原宿を日帰りで歩きます。全15回
「京都まで歩く東海道」  原宿~三条大橋を一泊二日で歩きます。全18回
それぞれ月に1回ずつ歩いて、東京の日本橋から京都の三条大橋をめざすイベントです。

以下のイベントが参加者募集中です。途中からでもご参加いただけます。
このブログには書いていないことが、実際の東海道にはいっぱいあります。
もっとくわしくお話をしながらガイドがご案内いたします。

一緒に東海道を歩きませんか?
人生の宝となるような経験、そのためのお手伝いをいたします。