大河ドラマ「べらぼう」第46回では、東洲斎写楽誕生秘話が描かれました。
ドラマでは写楽は蔦屋重三郎を中心とした絵師たちの合作となっており、写楽という人物が存在したわけではないという物語になっていました。
これはドラマの脚本上の創作でしょう。
写楽については多くの研究がなされており、その正体については確定した説はないものの、阿波藩蜂須賀家に抱えられていた能役者斎藤十郎兵衛が写楽の正体であるという説が有力です。
写楽は1年ほどの間に多くの作品を残しました。
それらのほとんどは役者の絵です。
ドラマにも出てきたとおり、河原崎座、都座、桐座に出演していた役者たちの似顔絵を描いています。
写楽が描いた役者たちが出演していたこれら3つの劇場は、どこにあったのでしょう。
まず河原崎座。
これは木挽町5丁目にありました。
木挽町5丁目は現在の銀座6丁目、築地の近くの昭和通り沿いにあたります。
木挽町は江戸時代にあった水路、三十間堀沿いに1丁目から6丁目までが長く連なる町で、木挽町5丁目は木挽橋のたもとにありました。
この木挽町5丁目には、江戸三座のひとつ森田座がありました。
森田座が休演しているときに代わりに芝居を上演する、「控櫓」と呼ばれる立場にあったのが河原崎座です。
都座は堺町にありました。
堺町は隣の葺屋町とともに芝居小屋が集まっており、「芝居町」とも呼ばれていました。堺町には中村勘三郎が江戸で最初の歌舞伎を上演したことから始まり、江戸三座のひとつであった中村座がありました。
この中村座の控櫓だったのが都座です。
のちには桐座が休演のときにも都座が芝居を上演するようになっています。
桐座は堺町の隣にあった葺屋町の、これも江戸三座のひとつである市村座の控櫓だった芝居小屋です。
かつて芝居興行で賑わった堺町と葺屋町の様子は、江戸名所図会にも描かれています。
これらの芝居小屋は水野忠邦の天保の改革によって浅草の北に移転しました。
移転後に芝居小屋が集められた場所は猿楽町と命名され、歌川広重が浮世絵に描いています。
芝居小屋の去った堺町と葺屋町は、さぞ寂しくなったことでしょう。
現在の堺町と葺屋町は日本橋人形町と日本橋堀留町になっていますが、現在の様子はこんな感じです。
場所は人形町駅の近く、近くには説明板も設置されています。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
【出典】
復刻版金鱗堂板江戸切絵図 ©こちずライブラリ(転載不可)
各浮世絵及び「江戸名所図会」 国立国会図書館デジタルコレクションより
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