東海道10番目の宿場、小田原を出ると箱根に向かってだんだんと道が傾斜していきます。
途中に風祭があります。
小田原かまぼこの製造会社、鈴廣の本店と販売店「鈴廣かまぼこの里」があることで知られています。

たくさんの観光バスもやってくる場所ですが、これは国道沿いの話。
鈴廣の店舗の裏手にある東海道は細い道です。
かつては一里塚もありました。
現在一里塚のあった跡地には、小田原市の文化財に指定されている道祖神が集められています。

この道祖神の横の道から億に入ったところに、萬松院があります。
萱葺屋根の庫裡のある古いお寺です。

ここに白塀に囲まれた五輪塔があります。

五輪塔の前には「松平三郎信康」と書いた石碑があります。
徳川家康の長男だった徳川信康のことです。

信康は家康の最初の正室だった築山御前の子です。
その信康と築山御前は天正7年(1579)に1か月違いで没しています。
織田信長の命によって徳川家康によって信康は自害させられ、築山御前は家康の家臣によって殺害されたという説が一般的です。
ただし近年は異説も称えられています。
謎の死を遂げた信康と築山御前、2人の首塚と称する五輪塔が岡崎にあります。


萬松院にある五輪塔は、信康の死にかかわった家康の家臣で、家康の江戸入り後は小田原城主となった大久保忠世によって建てられたと伝わっています。

ところが萬松院のホームページには違う話が載せられています。
この五輪塔は信康のものではなく、美濃の武将だった大沢正秀のものだというのです。
大沢正秀は「寛政重修諸家譜」によると通称が次郎左衛門、斎藤道三に見いだされて鵜沼城主となり、木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)の調略によって織田信長に仕えることにしたものの、信長から疑われて殺されそうになり藤吉郎に匿われました。信長の死後、秀吉とその甥の豊臣秀次に仕えましたが、秀次が自害した後は浪人して小田原の萬松院に住んだそうです。
同書によると妻は斎藤道三の娘、死後は萬松院に葬られたとあります。
そして萬松院によると、松平信康の墓とされているものが、本当は大沢正秀の墓なのです。

萬松院にある謎の五輪塔、岡崎信康、大沢正秀、いったいどちらの墓なのでしょうか?
東海道沿いには戦国時代の謎が眠っているのです。

(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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