

東海道の原宿から最初に吉原宿があった元吉原との間は、街道の北側に湿地が広がっていました。
江戸時代になると幕府の政策によって、ここに10箇所の新田が開かれ村ができました。
東から順に一本松新田、助兵衛新田、植田新田、東柏原新田、中柏原新田、西柏原新田、沼田新田、田中新田、檜新田、大野新田です。


これらの新田は今も地名として残っていますが、1箇所だけ地名が変更されたところがあります。
現在の地名は桃里ですが、ここはもともと助兵衛新田という地名でした。
助兵衛新田は、寛永年間(1624~1644)ころに鈴木助兵衛親子が2代にわたって開発した新田です。
この付近の湿原は枯れた蘆が堆積して泥炭となっており、その上に土をかぶせて田を造ることで新田の開発をしました。
しかし大雨が降ると枯れた蘆の層の上に載せられた土は蘆ごと水に浮かび、田んぼごと流されていったそうです。
新田の開発にはかなりの苦労を伴ったものと想像できます。
そのためこの付近の新田には開発者の名前を冠したものがいくつもあります。
助兵衛新田も、新田と村を開いた鈴木親子の名前が冠してありました。
ところが明治41年(1908)、地名が助兵衛新田から桃里と改称されてました。
浅間愛鷹神社に改称記念碑が建てられています。

その碑文によると、改称の理由は
「淫猥」だから
?!?!


この話はテレビ番組でも取り上げられたことがあります。
それによると、各新田に住んでいた人たちは、それぞれ新田の名称を頭に付けて「植田の桜井さん」とか「中柏原の木村さん」などという呼び方をしていたのだそうです。
助兵衛新田に住んでいる人たちは
「助兵衛の○○さん」
というような呼び方になるのですが、これを住人たちが嫌って改称に至ったのだそうです。
鈴木助兵衛は村を開いた恩人たちのはずです。
それになのに、村の名前からその名をはずすとは・・・
ちょっともやもやする話ではあります。
でも、私も「スケベの岡本さん」と呼ばれると、微妙な心持ちになるのは確かです。

助兵衛新田では、桃の栽培が盛んに行われていたのだそうです。
それで新しい村の名前は「桃里」となりました。
桃里の地名が生まれるまでには、このような経緯があったのです。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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