大津の西で京都へ向かう東海道から分かれ、大阪へと向かう京街道。
途中に4つの宿場があることから東海道の53の宿場と合わせ、最近では「東海道五十七次」という呼び方がひろまりました。

この街道のちょうど真ん中あたりに、樟葉というところがあります。
京阪線の駅がある町です。

この樟葉、実は古代のほんの短い期間ですが、都だったことがあるのです。
都、つまり大王(おおきみ、後の天皇)の御殿があったということです。
「万世一系」という言い方がありますが、親から子へと天皇位が引き継がれていたわけではありません。
中には継体天皇のように、北陸から突然現れて「一族」を名乗る人物が即位したこともあります。
その事情はちょっと時代を遡ります。
第21代の天皇は雄略天皇でした。
考古学上で存在が確認できる最古の天皇です。
(当時はまだ「天皇」という称号はなく「大王(おおきみ)」と呼ばれていたとされていますが、「天皇」で統一します)
雄略天皇は、一族や朝廷内で気にくわない人物を次々に殺した天皇でした。
そのため天皇家は男が減って後継者不足となり、雄略天皇の子の清寧天皇の後に跡を継ぐ人がいなくなってしまいます。
そこで現れたのが2人の奴隷です。
雄略天皇は従兄弟のイチベノオシハ皇子も殺しているのですが、その遺児2人が逃げて奴隷となって生きていたのです。
2人は朝廷に迎えられ、まず弟が即位し23代顕宗天皇に、弟の死後に兄が即位し仁賢天皇となりました。
ところがやっぱり天皇家の後継者不足は解消せず、仁賢天皇の子の武烈天皇の死後、とうとう後継者がゼロとなってしまったのです。
そこへ現れたのが越前の三国(現在の坂井市付近)からやってきたオオド王でした。
彼は応神天皇の5世の孫、つまり天皇家の遠い親戚として、朝廷の重臣たちに迎えられて即位し、仁賢天皇の娘を妻としました。
これが第26代の継体天皇です。
継体天皇は樟葉で即位し、樟葉宮で政治を行ったと「日本書紀」にあります。
つまり樟葉は古代の都だったのです。

「日本書紀」にはこの後継体天皇は都を、筒城(京田辺市付近)、弟国(大山崎町付近)、磐余玉穂(桜井市付近)に移したと記されています。
「日本書紀」に書かれている「樟葉」が大阪府枚方市の樟葉と同じ場所なのかという問題はありますが、樟葉には樟葉宮の伝承地があります。

国指定重要文化財の交野天神社が京街道から東に約1.2キロのところにあるのですが、その本殿右手から屋に進むと高台の上に貴船神社があります。
この高台こそが樟葉宮の跡だと、樟葉では伝承されているのです。

継体天皇が本当は何者なのかについては、古代史の謎とされています。
樟葉宮の跡地も、本当はどうなのか?
そんな樟葉は、現在では駅前に巨大ショッピングモールが建つ町になっています。

(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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