2025年の大河ドラマ「べらぼう」では、松平定信はつらいことがあると布団部屋に行って泣くという性格描写がされていました。
生真面目で融通が利かない堅物として描かれていた定信が、人間らしい一面を見せるシーンとして、布団部屋はなかなか秀逸だったと思います。
さて、この布団部屋があった場所はどこかといいますと、現在の皇居外苑にあたります。
松平定信は老中になったことで、それまでの上屋敷に加えて大手門近くにも屋敷を与えられました。
当時の地図に赤線で印を付けましたが、「松平越中」と書いてあるのが定信の屋敷です。



なんとこの屋敷は、先に老中首座だった「白眉毛」こと松平武元が老中だったときに住んでいた屋敷でもあります。
当時の地図には、右近将監だった武元の屋敷は「松平右近」と書いてあります。

やがて定信は将軍徳川家斉やその父の一橋治済の画策によって失脚します。
当時の定信はそのやり方から幕府内で孤立していて、それが失脚につながったようです。
ドラマの中では失脚した定信は、先の将軍の世子だった徳川家基の死の真相を知り、「仇討ち」を決意します。
狙う仇は一橋治済です。
そこで定信は蔦屋重三郎を仲間に引き入れます。
最初は迷惑がっていた重三郎ですが、第46話の毒饅頭事件からむしろ積極的に「仇討ち」に加担するようになるというのがドラマの筋立てでした。
なにしろ将軍の親戚で元老中の定信の部屋の襖を勝手に開けて入っていくくらい、この「仇討ち」に重三郎は入れ込んだ描写になっていました。
ちなみに定信と治済、先の将軍の家治、そしてドラマ終盤でのキーマンとなる清水重好はみんな従兄弟同士です。
この重三郎が襖を勝手に開けて入っていった定信の部屋のあった屋敷は、布団部屋のあった屋敷とは別のところです。
おそらくここと思われます。

広大な松平家の上屋敷が楓川という江戸の水路沿いにありました。
定信失脚後のことですから、大手門近くの屋敷はすでに返納されて、上屋敷にいたものと考えられます。
場所は東京メトロの茅場町駅の南側付近となります。
この松平家の上屋敷の名残のあるものとしては、現在は高速道路になった楓川の跡に架けられた久安橋くらいしかありません。
この久安橋、明治元年(1868)に改称するまで「越中殿橋」という名前でした。
ただし上の地図では楓川にちなんで「モミチハシ」と書いてあります。

白河藩の松平家は、定信の晩年に領地替えがあり桑名藩になります。
桑名藩は戊辰戦争で旧幕府方となり「朝敵」とされてしまいます。
そして東京遷都。
天皇のいる都となった東京に「朝敵」の名が付いた橋があるのはマズいということになり、「久安橋」と改称されたのです。
松平定信が老中への出世と失脚という波乱の生涯を送った屋敷ですが、その跡は2つともほとんど跡が残っていないのです。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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