箱根峠から箱根の西坂を下っていくと、三島市に入ったところから石畳の路面がなめらかになります。
表面が平らな石が道に敷き詰められていて、若干歩きやすくなるのです。
これは平成6年から9年にかけて三島市が石畳の発掘調査と復元を行い、地中から掘り出された石畳の道をきれいに整備し直したためです。
このように復元整備された石畳を歩いて山中城跡のちかくまで行くと、そこに1基の石塔があります。
「雲助徳利の墓」とか「雲助の墓」と呼ばれている石塔です。
盃と徳利が彫られた下に「久四郎」と名前が書いてあります。
箱根の雲助の墓だと伝えられています。
雲助とは箱根の山を往来していた主に小田原宿と三島宿の伝馬人足のこと。
時代劇では悪い駕籠かきのことを雲助と呼んでいますが、これは伝馬人足の中のあくどい者だけが誇張されている面があるように思われます。
三島市が設置した説明板によると、久四郎は本名が松谷久四郎、もともとは武士だったそうです。
しかし酒での失敗から藩を放逐され、めぐりめぐって箱根で雲助になったのだとか。
剣術が使え文字が書け、仲間の面倒見のよかった久四郎は雲助たちに慕われたそうです。
そこで久四郎が死んだとき、仲間の雲助たちは彼の墓を建て、好きだった酒をあの世でも飲めるようにと盃と徳利を墓石に刻んだと伝えられています。
もとより伝承ですので異説もあり、ここに書いた話が本当の話かどうかは分かりません。
箱根西坂の見どころの一つとなっている雲助徳利の墓ですが、元々ここにあったわけではありません。
もともとは坂のもっと上の茶屋の脇にあったのだそうです。
その茶屋の場所とはここ。
笹藪の中に「明治天皇御小休趾」の碑が建てられている場所があります。
明治天皇はなんでこんな藪の中で休憩をしたのかと疑問に思うところですが、ここはもともと茶屋があった場所なのです。
その跡が残っています。
茶屋が建てられていた土台の石垣が、よく見ると残っているのです。
鉄道や新たな国道1号線ができたりして、箱根の坂にあった茶屋もみんな廃業してしまいました。
そんな茶屋の横にあった雲助徳利の墓、今は箱根の東海道を歩いて旅する人たちの目にとまる場所にあるのです。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
【参照図書】
「箱根八里」三島市郷土資料館編纂
「歴史の道調査報告書 東海道」静岡市教育委員貝編纂
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