東海道を大津宿から京都へ向かって逢坂山を下ると、髭茶屋追分(山科追分、大津追分とも呼びます)と呼ばれているところへ出ます。
ここで道が分かれ、右が京都、左が大阪への道です。
左の道は、江戸時代の地図や絵図には「伏見道」とか「宇治道」などと書かれていることが多いのですが、最近では「東海道五十七次」と呼ばれることが増えました。
東海道の宿場制は最初は京都へ向かって整備されましたが、後に大阪へも整備されたのです。
大津から大阪への間には4つの宿場があったので、江戸から大阪へと向かう「東海道五十七次」と呼ばれるようになったのです。
なお、江戸時代の表記は「大坂」ですが、煩雑さを避けるために現在と同じ「大阪」と書きます。
この道は大阪と伏見を拠点としていた豊臣秀吉によって、大阪と伏見、さらに京都へと通じる道として、もともとは造られたものです。
そのため、大阪側から見ると京都へと向かう道なので「京街道」と呼ばれていました。
この道は大阪で船から上陸して東海道を通って江戸へと向かう大名たちに利用されていましたが、わざわざ京都に出てから大津を経て東海道を江戸へと向かうのは遠回りであることから、徳川幕府は伏見から直接大津を結ぶ道を整備し、幕府の道中奉行の管轄としました。
そのため髭茶屋追分から大阪へと通じる道も、東海道を管理する幕府の道中奉行の管轄下に置かれたのです。
このことも「東海道五十七次」と呼ばれる理由のひとつです。
髭茶屋追分の道しるべは、上の「伊勢参宮名所図会」の挿絵では高札場の両側に1本ずつ、合計で2本あったことが描かれています。
現在は高札場はないものの、道しるべはやはり2本あります。
ところが両方とも金属板で補強してあるのです。
これは平成23年ころに道しるべに車が突っ込み、破損してしまったためです。
そのため修理する間、道しるべがなかった時期があります。
この壊れてしまった道しるべのうち右のもの、「右 京道」「左 ふしみみち」そして「柳緑花紅」と書かれていて、江戸時代の紀行文などにも記述があります。
ただし、いつごろ造られ追分に置かれたものなのかは明らかではありません。
そしては現在追分にある道しるべは3代目、つまりレプリカなのです。
その初代の道しるべはこの場所から移され、しばらく琵琶湖文化館の前に置かれていました。
現在は安土城考古博物館の敷地に置かれています。
その後は2代目(レプリカ)が追分に置かれていたのですが、それも現在は移転しています。
移転先は髭茶屋追分の近くです。
京阪線の追分駅の近くにある摂取院の境内に移されています。
そしてこちらが昭和29年から追分に立っている3代目。
金属板で固定されることになったのは残念ですが、今も2つの道の行き先を示し続けています。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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