歌川広重は保永堂板「東海道五拾三次」で、「石部 目川ノ里」として石部宿をこのように描いています。
石部宿は甲賀地方の西の外れにあたります。
戦国時代には織田信長と対立した近江守護六角義賢が甲賀武士たちと石部城にこもり、織田の軍勢と戦った地でもあります。
戦乱に見舞われた石部も江戸時代には宿場に指定されました。
本陣の跡地には明治天皇の碑も建てられています。
そして広重の浮世絵とそっくりな建物もあります。
石部宿の中にあるおそば屋さん兼お休み処の田楽茶屋です。
だいぶ前に解体されましたが、以前は石部駅の隣にあったコミュニティハウスも、同じような形の建物でした。
ところで、この広重が描いた石部宿の絵、実は・・・
石部宿ではないんです!
じゃあどこなのかといいますと、石部宿と草津宿の間にある目川の立場の茶屋を描いたものなのです。
そのくらいいいような気もします。
なぜならば、広重は宿場からけっこう離れたところも描いているからです。
たとえば浜松宿の絵に描かれているのは、宿場の外れから京都方面に約1.5キロの八丁畷の様子です。
このように広重は、「東海道五拾三次」と称しながらも宿場内を描いているとは限らないのです。
さて、石部宿の絵ですが、描かれている目川の立場は石部宿から草津宿の方に向かって離れすぎています。
目川立場は石部宿から約8キロ、草津宿からは約700メートル、なんと圧倒的に草津宿の方が近いのです。
石部では浮世絵にならってよく似た建物を建てましたが、絵に描かれているのはほぼ草津宿といってもよい場所だったのです。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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