東海道にはヤマトタケル(日本武尊)の物語が伝わっています。
もっとも東では品川宿の寄木神社に、ヤマトタケルが遠征途中で死んだ妻の弟橘媛(オトタチバナヒメ)を祀ったと伝わる寄木神社があります。
ヤマトタケルは父の景行天皇に命じられて関東へと遠征に出るのですが、その帰路に鳴海で宮須媛(ミヤズヒメ)を妻に迎え、楽しい時を過ごすことなります。
そんなことをしている間にヤマトタケルは慢心し、伊吹山に住む荒ぶる神を「素手で退治してやる」と言って武器を置いて出かけ、その結果重傷を負ってしまいます。
この伝説が、三重県の県名の由来につながってくるのです。
ヤマトタケルは生まれ故郷の大和をめざしますが、傷を負った体で疲労困憊してしまい、坂道を上るときに杖を突かなくてはならなかったほどでした。
この坂道が東海道の四日市宿から石薬師宿の間にある杖衝坂だと伝わっています。
いまも結構な急坂です。
芭蕉も元禄2年(1689)の「笈の小文」の旅でこの坂を通り、そのときの様子を句に詠んでいます。
徒歩(かち)ならば 杖つき坂を落馬かな
桑名から東海道を西へと向かっていた芭蕉は、ところどころで荷物運び用のおそらく伝馬に乗せてもらいながら旅を続けていたのですが、杖衝坂で馬から転げ落ちてしまったのです。
さて、杖をつきながらこの坂をようやく登ったヤマトタケルは、みずからの疲労ぶりをこう表現します。
「私の足は、まるで三重に曲がってしまったように疲れてしまった」
なんとも難解な疲労の表現ですが、この「三重に曲がった」が三重県の「三重」の由来なのです。
「ホントかよ?!」と言いたくなるような話ですが、本当に「古事記」に書いてあるのです。
地名由来として本当かどうかは、別問題とお考えください。
このように東海道にゆかりが深く、足が三重に曲がってしまったことから、三重県内の東海道沿いやその近くにはヤマトタケルの像があります。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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