東海道の浜松宿から舞坂宿にかけてはいくつもの村がありましたが、そのうち浜名湖と海にはさまれていた篠原村、坪井村、馬郡村では農地がすくなく、村人たちは農業と漁業を兼業していたそうです。
漁業は地引き網と船による漁で、地引き網で獲れた魚は塩に漬けて干魚に、船では鰹を獲って鰹節にしていたそうです。
これらの海産物は江戸の商人が買い付けにきていました。
それに関わるとされるものが、坪井の稲荷神社に残っています。
ここは旧坪井村の鎮守だった神社です。
ここに江戸時代に奉納された石製の鳥居があります。
この石製の鳥居の柱に、奉納者として江戸の商人たちの名前が刻まれているのです。
奉献 江戸小舩町 尼屋伝次郎
文化十三丙子年十一月吉旦 遠州屋伝兵衛
彼らの住んでいた小舩町は現在の日本橋小舟町のことで、江戸時代には江戸湊最大の荷上場があった場所です。
江戸切絵図と現在の地図を比較します。
現在は埋め立てられてしまいましたが、U字形をした入り堀の両側に荷上場があり、堀に面して商家が蔵を並べており、荷揚げされた商品を江戸の町で商っていました。
ここでいう「入り堀」とは行き止まりの水路のことで、多くの場合荷上場や船溜まりとして使われていました。
江戸名所図会に小舟町のあった入り堀の様子を描いた挿絵があります。
ちなみに、小舟町という地名をどこかで見た覚えがある人がいたら、おそらくここじゃないでしょうか?
尼屋伝兵衛と遠州屋伝助については、文政7年(1824)に発行された「江戸買物独案内」に鰹節・塩干肴の問屋として載っています。
坪井村は鰹節と干魚の産地ですから、尼屋と遠州屋はここへ買い付けに来ており、その縁で稲荷神社に鳥居を奉納した可能性が高いと考えられます。
さて、坪井村の漁業はその後どうなったのでしょう?
浜松宿にはある塩町は、塩の専売が許された町でした。
篠原村、坪井村、馬郡村でも干魚を作るのに塩が必要なのですが、塩町の塩は高価であったので、他所で扱われている塩を使っていました。
これに対して塩町の塩問屋が幕府に対して訴訟を起こし、浜松藩領と旗本領をまたぐ事案ですので評定所で吟味が行われました。
判決は「篠原村、坪井村、馬郡村は塩町の専売地域内なので、塩町から塩を買え。塩町も塩を安く売れ」という和解に近いものでした。
しかしこの事件が契機となってこれらの村では農地開拓が進み、あらたな農地では桑や綿花が栽培されました。
意外なきっかけではありますが、現在もつづく浜松の繊維産業の基となったとされています。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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