東海道五十三次を歩いて大磯宿から小田原宿に向かうと、山王橋を渡ったところに小田原宿の入口がありました。
これが江戸口見附です。
見附のすぐ横には一里塚もありました。
この江戸口見附は、宿場だけではなく小田原城の江戸側の入口でもありました。
小田原は全長約9キロにおよぶ土塁と堀で囲まれた城塞都市でした。
この長大な土塁と堀を惣構えと呼びます。
総構えは、豊臣秀吉との関係が悪化した北条氏政・氏直の親子が、小田原を豊臣軍の攻撃から守るため、豊臣軍の攻撃が始まる天正18年(1590)にかけて築いたものです。
つまり小田原城は、広義ではこの総構えの内側のこととなるのです。
東海道もこの惣構えの中を通過しており、江戸口見附は総構えの東の入口があったところなのです。
だから小田原城は、全体を見るとこんなに大きいのです。
現在は観光名所としての小田原城は、天守閣が再建されている本丸と、その周辺の二の丸・三の丸など、実は小田原城のほんのごく一部にすぎなかったのです。
広大だった総構え、その土塁は江戸口見附のそばに残っています。
住宅地の中に土塁がつづいています。
堀の部分は今は暗渠になっており、良好な状態では残っていません。
大きくえぐれているところがありますが、これは第二次大戦中にアメリカ軍の投下した爆弾が直撃した痕です。
江戸口見附付近の総構えの土塁は、戦国時代・江戸時代の遺構であるばかりでなく、戦争遺跡でもあるのです。
ちなみに豊臣秀吉による小田原攻めが行われたとき、徳川家康の担当したのは東側、つまりこの江戸方見附の外側、北東側に陣を布いて小田原城の包囲に加わっていました。
それも理由のひとつなのでしょう。
私も見たのですが、以前にテレビ番組で「徳川家康は小田原城の攻防戦に加わって総構えの堅固さを見て、江戸城に外堀を築いた」と説明していたことがあります。
でもこんな話は信じちゃいけません。
江戸城に外堀を築いたのは家康ではなくて、彼の孫の徳川家光ですし、家光は小田原城攻防戦のときにはまだ生まれてもいなかったのです。
総構えは小田原城の北西の山の中まで築かれていて、その遺構も残っているのですが、東海道近くでは江戸口見附と板橋口見附につながっていました。いずれも小田原宿の東西の出口にあたります。
残念ながら板橋口では総構えの土塁は明確な形では残っていません。
日本には珍しい城塞都市だった小田原、東海道五十三次の歩き旅の際は、是非これを体感してください。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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