東海道五十三次を旅して箱根にさしかかると、箱根湯本から元箱根のちょうど中間付近に畑宿があります。
この畑宿は、箱根のお土産品として知られる箱根細工の生産地です。
江戸時代から立場だったところで、両側が林であることが多い箱根の東海道でも畑宿には今も家屋が並んでいます。
この畑宿の西の外れからはじまるのが、箱根の七曲がりです。
一時はローリング族のメッカとなって悪名ととどろかせた場所ですが、最近では通る車もすくない静かな道になっています。
この箱根の七曲がりは、箱根の急坂を上るためにヘアピンカーブが連続する場所で、箱根の名所のひとつと呼んでもよいでしょう。
ただし、江戸時代には今ほどカーブが連続する道ではありませんでした。
江戸時代の絵図を見ても、曲がる場所は4箇所だけです。
このころは樫ノ木坂などと呼ばれる急坂だったところです。
江戸時代からさほど道が変化していないと思われる大正8年(1919)の地図を見ると、東海道が4回にわたって曲がっている様子が描かれています。
しかし、その曲り方はゆるく、現在のような「ヘアピンカーブ」といえるほどのものではありません。
国土地理院で閲覧できる大正8年の次の地図は、昭和32年(1957)のものなのですが、ここにはすでに箱根の七曲がりが記載されています。
箱根町郷土資料館によると、箱根の七曲がりとして道路が整備された時期については明確ではないものの、昭和4年(1929)の新聞記事に箱根七曲がりの記述があることから、このころまでにはできあがっていたことがわかるそうです。
大正8年の地図に描かれておらず、昭和4年の新聞記事にあるということは、その間に七曲がりが整備されたことは間違いありません。
そのころ何があったのかというと、関東大震災です。
関東大震災では箱根も土砂崩れなどの甚大な被害が出ており、東海道も多くの部分が埋もれてしまいました。
ですから古い地図を見ただけでも、この間で箱根の東海道の道筋は多くの箇所で変化していて、急カーブのある場所が増えています。
おそらく箱根の七曲がりも、関東大震災後の東海道復旧工事によって造られたものなのでしょう。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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