以前に東海道の浜松宿から舞坂宿の間について、このような記事を書きました。
稲荷神社の鳥居に、江戸の商人たちの名前が刻まれているのです。
小舟町に店を構えていた尼屋伝次郎と遠州屋伝兵衛です。
彼らは江戸の小舟町の塩干魚・鰹節問屋でした。
小舟町一帯は2本の入堀が設けられ、その両岸が江戸最大の河岸(荷揚場)となっていたところです。
ここでは魚、野菜といった生鮮食料品以外のもののほとんどが荷揚げされ、商われていました。
ちなみに魚は日本橋の魚河岸、野菜は京橋の大根河岸などで荷揚げと売買が行われていました。
稲荷神社のある浜松市中央区坪井町は、江戸時代には坪井村のあったところです。
坪井村では農業の傍ら、地曳き網で魚を獲って塩干魚を作り、漁船で鰹を獲って鰹節を作っていました。
尼屋と遠州屋は、おそらくこの地へ塩干魚と鰹節を買い付けに来て、その縁で稲荷神社に鳥居を奉納したのでしょう。
ところで神田明神にいくつもある境内社のひとつに、小舟町八雲神社があります。
4年に一度、小舟町天王祭が行われ、神田神社境内を出発した神輿が日本橋小舟町まで渡御する神社です。
この小舟町八雲神社の天水桶をよく見ると
奉納したのは尼屋伝次郎と遠州屋伝兵衛!
東海道の坪井にある稲荷神社に鳥居を奉納した小舟町の塩干魚と鰹節の問屋、尼屋伝次郎と遠州屋伝兵衛、それに同じく小舟町の同業者の遠州屋新兵衛によって奉納された天水桶、それが神田明神の境内にあるのです。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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