2024.7.12
東海道五十三次の歩き旅において、多くの人たちが日本橋を出発点にしています。

現在の日本橋は、明治44年(1911)に架けられたものです。
近代建築の旗手、妻木頼黄を装飾顧問に迎え、彼の考案によって日本橋史上はじめての西洋風の橋になりました。
石橋風の外観、二重のアーチなど西洋の橋の要素をベースにしていますが、よく見ると和風の要素も多分にありまして、「西洋風」というよりも「和洋折衷」といったほうがふさわしいでしょう。
でもこの日本橋、「いざ東海道へ!」と出発するとき、記念写真を撮ったらあっさりと出発していませんか?
日本橋って、よく見るといろいろ面白いものがあるんです。今回はそのうち、日本橋にある彫刻についての話です。
まず橋の中央から。
ここには麒麟像があります。

麒麟は中国の架空の動物、神獣です。聖人君子が世に現れ、良い政治が行われるとき、吉兆として姿を現すといわれています。
でも日本橋の麒麟像は、橋の意匠に合わせたのか、中国の神獣なのに西洋のドラゴンによく似ています。
それでも和風の特徴もあります。2匹が一対で口が阿吽になっていることです。


もうひとつの特徴としては、羽があることが挙げられます。

キリンビールのラベルと見比べるとよくわかりますが、本来の麒麟には羽がありません。神獣ですから、羽なんかなくても空を飛べるのです。

それなのに日本橋の麒麟像に羽を付けたのは、「日本の中心の日本橋から各地に飛び立つ」という意味があるのだそうです。
ところで、この羽は翼ではありません。魚のヒレを模して造られたそうです。
その理由には諸説あり、「魚河岸が日本橋の横にあるから」「鳥の翼にするよりデザインとして面白いから」などといわれています。
次に橋の四隅にある獅子像。

獅子も中国の架空の動物なのですが、神社の狛犬のモデルとして古くから日本に取り込まれています。
実は日本橋の獅子像にはモデルがいます。
奈良の東大寺の隣にある手向山八幡宮の狛犬です。

狛犬、ちっちゃ!
以前に東大寺にお参りに行ったとき、途中で撮影した手向山八幡宮の写真です。当時は日本橋の獅子のモデルと知らず、狛犬だけの写真を撮らなかったのです。
そしてもうひとつのモデルもあります。
場所はなんとイタリア! 芸術の町フィレンツェ! シニョーリア広場にあるライオン像もモデルなのだそうです。
こちらのリンク先でシニョーリア広場のライオン像が見られます。
シニョーリア広場のライオン像が持っている西洋の楯を、東京都の紋章と入れ替えて造形したのが日本橋の獅子像です。
獅子像は橋の四隅にいますが、やはり2匹一対で阿吽の口をしています。


ところで、獅子は橋の四隅の4匹だけじゃありません。
獅子と麒麟の後ろの柱を見てください。

柱の上の四面に、それぞれ1匹ずついるのです。
そして橋の側面も見てください。


橋の両側の2つあるアーチのそれぞれ頂点に、やはり1匹ずつ獅子がいます。
つまり獅子は日本橋に、全部で32匹いるのです。
最後はなかなか気づかないところですが、麒麟と獅子の背後の柱を見てください。

よく見ると植物が彫刻してあります。
これは松と榎です。
日本橋から東海道をはじめとして、江戸時代の五街道が始まっていました。
それぞれの街道には一里塚が設けられ、並木として松が植えられていました。


その並木の松と、一里塚の上に植えられていた榎が、日本橋の柱に彫刻されているのです。
これらの彫刻は妻木頼黄の発案により、獅子と麒麟の原型は彫刻家の渡辺長男、榎と松は熊木三次郎が作り、これらを東京美術学校(現東京芸術大学)で助教授津田信夫を中心にして銅像が制作されました。
日本橋ではすぐに歩き始めずに、じっくりと観察すると面白いものがきっと見つかります。
(歩き旅応援舎代表 岡本永義)
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